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ウソと笑顔とモヤモヤ★プリンセス(後編) [ふたご姫妄想戦記]

土曜日になると、泣きながら更新されてるふたご姫に関係する駄文。
現在は小説もどきを連載中。

ユリスキーに贈る、アスリオーネの物語、完結編。
アスリの揺れる心が描けたら・・・ええがなぁ。

ウソと笑顔とモヤモヤ★プリンセス(後編)


◇◆◇◇◆◇◇◆前回のあらすじ◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇

熱血星のアスリには悩みがありました。
それはチームメイトのリオーネに関わること。
彼女を見ていると、心のなかに言い表せないモヤモヤが。
そのせいで、素直になれず、ウソをついてしまうアスリ。
リオーネの笑顔を見れば見るほど辛くなる。
ついついキツイ態度で接するようになってしまい・・・


◇◆◇◇◆◇◇◆◇第5章~時間が経てば落ち着くから~◇◆◇◇◆◇◇◆◇


「なぁ、アスリ?ほんとに大丈夫かよ?」
「・・・ええ。」
今日は寮からずっとこんな感じ。
カロリは私を気遣ってばかり。
確かに、昨日の保健室での私は・・・普通じゃなかったと思う。
カロリの前であんなことを言ったのは、始めただったから。
でも・・・仕方ないのよ。
そんな気分だったんだから。

教室に入ると、リオーネが先に席に着いていた。
私の姿を見るやいなや、心配そうな顔で声をかける。
「アスリ、大丈夫?もしまだ体の調子が悪かったら言ってね?」
その言葉に応えない。
・・・応えられない。
どこも悪くないから。
ただ・・・心がモヤモヤしているだけ。
「・・・」
「・・・」
2人の間に続く沈黙。

「・・・え~と。あ、あのさ、今日の朝のさ、ごはんって・・・」
カロリは重苦しい空気が苦手。
一生懸命に話をそらそうと頑張っている。
でも、それが余計に私たちの間の空気を微妙なものにする。
・・・カロリ、本当に鈍感なんだから。

「は~い、一時間目は音楽ですよぉ~!」
タイミングよく、音楽担当のウーピー先生が教室に入ってきた。
リオーネは寂しそうに瞳を落として、私の隣りの席に座る。
・・・ごめんなさい、リオーネ。
心の中で謝った。
本当は声に出して言いたいのに・・・
リオーネにはっきり言いたいのに・・・
そうしたら、このモヤモヤは無くなるのに・・・

「な・・・なぁ、アスリ?」
カロリがそっと耳打ちをしてきた。
私は視線だけをカロリに向ける。
「リオーネとケンカとか・・・した?」
私は視線をすぐに戻した。
答えない。
・・・鈍感。
カロリはポリポリと頭を掻く。
そして大きなため息をついた。
本当にこの手の雰囲気が苦手なのね・・・。

◇◆◇◇◆◇◇◆◇第6章~それはたったひとつのご飯粒~◇◆◇◇◆◇◇◆◇


昼休みになった。
午前の授業中、ずっと私はぼーっと考え事をしていた。
リオーネのこと。
カロリのこと。
そして、自分のモヤモヤのこと。
なにか答えが見つかったワケじゃない。、
でも、時間がたったせいか、少し落ち着いた気がする。
「カロリ、アスリ、お昼、外で食べない?」
リオーネが恐る恐る提案してきた。
私はコクリと頷く。
そんな私を見て、カロリは安堵の表情を浮かべる。
リオーネの表情も和らぐ。
その瞬間の笑顔が、私の胸をドキっとさせる。
・・・もぅ・・・リオーネも・・・鈍感だわ。・・・バカ。

私たちはランチを持って、中庭に出た。
今日のランチメニューはピラフとシーザーサラダ。
あとチキンのソテー。
ピラフは3種類あったけど、激辛ピラフを選んだ。
・・・だって、リオーネが美味しいって言うから。
大丈夫かしら・・・コレ。真っ赤だけど(汗)。

「ぽかぽかして絶好のランチ日和ね!」
リオーネが嬉しそうに言う。
「おう!大盛りにしたかいがあるな!」
「・・・貴女はいつも大盛りでしょ。」
呆れて私がツッコミを入れる。
「うう・・・アスリぃ・・・」
カロリが何かを言いたそうな表情でこちらを見る。
リオーネはそんな私たちを見てくすくす笑う。
なんだか一息ついた。
私のモヤモヤの正体・・・
リオーネを見ていると胸の鼓動が早くなる・・・
その原因。
本当はもう解っている。
でも、認めたくない自分がいる。
だから、いつまでも胸にモヤモヤが残っている。
素直になれない自分が嫌になる。

日当たりが良い場所を見つけ、そこでランチを食べることにした。
私はモヤモヤのこと、リオーネのこと。
色々のことを考えながら、少しぼやっとしながらピラフを口に運んでいたの。
「アスリ、ほっぺにごはん付いているわ?」
「ん?」
私がスプーンを口に入れようとした瞬間だった。
karori201.jpg
リオーネが私のほっぺたのご飯粒をペロリと食べた。
リオーネの唇の暖かさをものすごく近くに感じる・・・
「!○△☆!?ぢッ!!!」
私は声にならない叫び声をあげた。
「ひっ!あ、アスリ、何?なに?ナニ?」
その声に驚いたカロリ。
チキンソテーと格闘していた手を休めてプチパニックになる。
リオーネも目をまんまるにしてる。

「な、なんで・・・なんでそんなことをするのっ!?」
「え・・・でも・・・ほっぺたに・・・」
私は自分でもどうすれば良いか解らない感情に振り回される。
「私のこと・・・こんなに貴女のことで悩んで・・・」
「え・・・!?」
「私のこと・・・ふざけて・・・からかって・・・」
もう自分でも何を言っているのかわからない。
「私の気持ちなんて・・・解らないクセに!!」
抑えていた想いが爆発した。
「嫌い・・・」
大声で叫んでいた。
「リオーネなんて大っきらい!!!」
そうして、脇目もふらず走り出した。
涙が止まらない。
手で拭っても、拭っても、涙が止まらないの・・・

「・・・いつも・・・ティオにもしてたんだけど・・・・」
「ティオ?」
「うん。私の兄の。」
「ああ・・・隣りのクラスの・・・」
残された2人は呆然として走り去った私を見つめながら、
呆然とポツリポツリと会話していた。

◇◆◇◇◆◇◇◆◇第7章~あの娘と出会ったあの日から~◇◆◇◇◆◇◇◆◇


いつのまにか私は講堂にいた。
行事のない時の講堂に人の気配はない。
広い空間に私ひとりだけ。
なぜこの場所に来たのか解らない。
そう言えば・・・
初めてリオーネを見たのはこの場所だったわ・・・
私はカロリと、リオーネはふしぎ星のみんなと座っていた。
彼女は私たちの前に座っていたの。
付けているリボン、かわいいなって・・・そう思ったっけ。

「・・・アスリ?」
「!!」
自分を呼ぶ声に飛び上がった。
リオーネの声だったから。
「・・・どうして・・・」
それ以上の言葉を紡げない。
「うん。なんでだろう・・・。でも、アスリがここにいる気がしたの。」
「・・・カロリは?」
「寮の方を探してくるって。後でこっちに来てくれると思う。」
「・・・」
「・・・」
お互いに沈黙を破る言葉が見つからない。
でも、ずっとこうしているワケにもいかない・・・

「あの・・・」
「どうして・・・」
リオーネの言葉に重ねるように、質問した。
「どうして・・・怒らないの?」
「ん・・・うん。なんとなく気持ちが・・・解るから・・・かな?」
にっこり微笑むリオーネ。
気持ちがわかるって・・・それって・・・
私はドキっとした。
心臓の音がリオーネに聞こえるんじゃないかって、心配になるほど・・・

「なんでよ!どうしてよ!」
そんな想いを気づかれまいとして、
私は大声でリオーネを責め立てた。
「何がわかるのよ!私のどんな気持ちがわかるのよ!」
リオーネには知られたくない。
知られたら絶対に・・・駄目だ。
私の気持ち。
こんな気持ち・・・
嫌われる。
絶対、絶対、絶対に嫌われる。
だから、こんなにリオーネを想っていても・・・
口から出てくる言葉はリオーネを責める言葉ばかり。
・・・本当にこんな自分がイヤになる。

「わからないわよ!リオーネなんかにわからないわよっ!」
「うん。ごめんね。」
リオーネは私をまっすぐ見つめて、そして頭を下げた。
ショックだった。
「なんで・・・なんで・・・そんなに落ち着いていられるの?」
頭を上げたリオーネは、少し困ったように笑いながら言った。
「私も・・・悩んだりしたことがあるの。友達のことで。」
「え・・・」
「ふしぎ星で・・・ね。」
リオーネはゆっくり、言葉をえらぶようにして話してくれた。
「でも、ファインとレインが・・・友達が私の気持、助けてくれたの。」
「・・・」
「だから・・・今度は私が助けたいの。」
そして、私の方を向いてとびっきりの笑顔。
「アスリの気持ち。なんとなくだけど、わかるから。」
リオーネ・・・
なんだ・・・全然・・・わかってないじゃない。私の気持ち。
気づいてなんか・・・ないじゃない。
・・・良かった。
でも・・・

堰を切ったように抑えていたものがあふれ出た。
もう我慢しなくてもいいのかな・・・
そう思った私は、リオーネの胸に飛び込んで泣いたの。
リオーネは笑顔で私を優しく抱きしめてくれた。
溢れる涙。
そして・・・
「ごめんなさい。」
「うん。私も・・・ごめんなさい、アスリ。」
私の頭を優しくなでるリオーネ。
謝罪の言葉に深い意味はなかったけれど・・・
でも、何かスッキリした気がする。

「・・・なんだかわからないけど・・・よかった。」
少し離れて、物陰に隠れるようにしてカロリが見ていた。
カロリ・・・バレバレよ。
ほんと、こういうところ鈍感なんだから・・・私のパートナーは。
でも、私は気にせず、ずっとリオーネの胸で泣いていた。
・・・いいじゃない。
だって、そうしていたい気分だったんだから。

◇◆◇◇◆◇◇◆◇第8章~ウソとモヤモヤと久々の笑顔◇◆◇◇◆◇◇◆◇


結局、私たちチーム・サンバは午後の授業をズル休み。
3人ともマイナスポイントが付くことになったの。
「ごめんさない・・・私のせいで・・・」
私の謝罪に、2人は笑顔で応えてくれた。

「なぁ、とりあえず教室に戻ろうぜ!」
「そうね。」
「うん。」
カロリの提案で、教室に帰ることにした私たち。

講堂から出た時、そっとリオーネの手を握ってみた。
karori200.jpg
リオーネは一瞬びっくりしたようだったけど・・・
手を握りかえしてくれた。
笑顔で。
その笑顔に、私は勇気を出して言ってみた。
否定されるかもしれない。
拒否されるかもしれない。
でも・・・今、言いたい気分だったから。
「リオーネ・・・」
「?」
「・・・す、好きよ。」
途端に私は下を向く。
恥ずかしくて、その・・・リオーネの顔なんて見れない。
耳まで赤くなっている自分がわかるもの。
それでも、リオーネの手を握る力を少しだけ、強くしてみた。
嫌われたかもしれない・・・

でも、リオーネも少しだけ強く手を握ってくれた。
「うん。私もアスリのこと、大好き!」

・・・わかってる。
自分の好きとリオーネの好きが違うこと。
でも、それでもいいの。
今は別にそれでいいの。
だって、やっと素直に自分と向きあえるようになったから。
自分の本当の気持ちを言葉にできたから。
気がついたら、心の中にモヤモヤしたもの・・・
もうどこにもなかったの。

リオーネと目が合って、そしたら・・・
私、心から笑うことができた。
・・・本当に久しぶりに。
ウソもモヤモヤもない、素直な自分で。

◇◆◇◇◆◇◇◆◇終わり◇◆◇◇◆◇◇◆◇


ps
そういえば・・・最近ソフィが親しげに話してくるわ。
よくわからないけれど、
ソフィと私は同じ魂の持ち主だからとか・・・
私たちはオーラの色が同じとか・・・
どういう意味なのかしら??

◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇

今回から章に題名付けました。
その方が(自分的に)解りやすくなった気もしますので・・・
漢字の扱いにも気を配ってみました。
論文じゃねぇし、漢字多いのもアレですし。
にしてもシネル。
今回は2つの低レベルの絵で堪忍して・・・
これで、リポとアスリという放送中にスポットが当たらなかった、
不遇キャラの物語は終了。
次回から、いよいよオリジナルキャラで!
・・・行けたらイイケドナ~。
その前に3人組・・・!?
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