イライラ☆アイドルの友達100万人計画(中編) [視聴日記『ふたご姫』]
土曜日になると更新されるような気がする、
ふたご姫に関係するかもしれない、
謎のノベルみたいな文章(弱気)。
今回は絵を漫画のコマ割りを意識してみたり。
漫画なんぞ生まれてこのかた描いたことなんぞないですが。
読み専でした。
てぇへんだなぁ(涙)。
アイドル星のプリンセス・フーカの物語のその2。
今回も駄文長文オブジクションでいきます。
・・・ルーナの登場は今回です(汗)。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
イライラ☆アイドルの友達100万人計画(中編)
◆◇◇◆前回までのあらすじ◆◇◇◆
物心ついた時から、ずっとアイドルを続けてきた、
アイドル星のプリンセス・フーカ。
本当の自分を見てもらえないことから、
常にイライラしていた。
そんな環境に嫌気がさして、ロイヤルワンダー学園に入学する。
最初は人を近づけさせないようにしていたフーカ。
しかし、クラスメイトと大ゲンカすることで、逆に親交を深め、
友達の大切を認識することになった。
◆◇◇◆第1章 ワタシ トモダチ ホシイカラ◆◇◇◆
オウカとカスガの2人とチームを組んで数日が過ぎた。
私にサインや握手を求める生徒はまだいる。
でも、それもだんだん減ってきてる。
みんな、それぞれこの学園で目的があるから。
だから、私ばかりを気にかけるワケにはいかないみたい。
嬉しい反面、寂しくもある。
それに、目的を持っている人が羨ましかった。
だって、私には目的も目標もなにもなかったから・・・
「ねぇ、フーカ?」
科学の授業が終わった休み時間。
私は同じクラスの女の子に急に話しかけられた。
名前は確か・・・ひかり星のシャインだったかな?
「なに?」
「クラブってもう入ったりしてるのかな?」
「クラブ??」
クラブ・・・そういえば、何も考えてない。
音楽部の先生から、是非入部して欲しいと言われたけど・・・
正直、今はちょっと歌とかから離れたい。
だから、断った。
「別に決めてないわ。どうして?」
するとシャインはいきなり私の手をとって、
「ついてきて?」
と言って引っ張る。
「え?ちょ・・・ドコに行くのよ!?」
「隣りのクラス。合わせたい娘がいるの。」
「はぁ?」
強引な子ね・・・オウカみたい。
隣のクラスに着くと、変わった女の子を紹介された。
「んもぅ、すごぉ~く可愛いんだからぁ!」
・・・ナニ、この異常なテンション。
女の子の名前はハーブ。
なんでも『ソロ』って男の子にゾッコンらしい。
「でねでね!みんなでソロりんを応援しようって思うの!」
・・・はぁ?
そのソロって男の子は、そんなにイケメンなワケ?
「ねぇ、シャイン。ソロって人、どこにいるの?」
「あれ。」
シャインがそう言って指さした先。
机・・・の上に・・・机!?
とても小さな・・・手のひらサイズの男の子が座っている。
そして真剣に本を読んでいる。
「えっと、あれって・・・タネタネの人?」
「そうなの~。タネタネのこと知ってるだぁ?」
まぁ、それなりに。
同じクラスにはタネタネの女の子もいるし・・・
(※姉弟であることは知りません)
それに前に一度、コンサートの仕事でふしぎ星に行ったから。
その時、タネタネの人たちの国でも野外コンサートを開いたわ。
だから知ってたんだけど・・・
そう言えば、一緒に仕事をした吟遊詩人も変わった人だったな。
確か・・・ナギーニョって名前だったっけ。
「ねぇ、フーカ。一緒にソロりんを応援しない?」
「う~ん・・・」
別に小さい男の子が好きってワケでもないし・・・
それにB組にはタネタネの女の子が何人もいるし・・・
そんな風に考えていると、シャインがそっと耳打ちをしてきた。
「(ハーブとソロ君の恋模様、見ていて飽きないよ?)」
なるほど・・・
シャインの目的は、恋のキューピッド役なのね。
まぁ、ワイワイ楽しむ目的もあるみたいだけど・・・
「別にいいけど、オウカとカスガにも聞かないと。」
私はチームメイトの意見を無視したくはない。
初めて出来た友達。
あの2人がどういうかも聞いてみたかった。
「あ、それなら大丈夫。」
クネクネしているハーブを脇目に、シャインは落ち着いて答える。
「なんでよ?」
「もう2人には聞いてあるの。」
そ、そうなの?
「フーカからOKがもらえれば、みんな一緒に仲間入りね。」
「ま、まぁ、それならいいけど・・・」
「やったぁ!」
シャインは小さく飛び上がって喜んだ。
「ハーブ、ハーブ!」
手を振りながらハーブの方へ走っていく。
「ソロりんを一緒に応援してくれる人、また増えたよー!」
「ええ、イヤンうそんマジー素敵~」
や、やめておいた方が良かったかも・・・
でも、もしかして、これが私のクラブ活動と言えるのかな。
ユニークなクラブと言えるかもしれない。
それに、今まで人に追いかけられることは散々あったけれど、
まさか自分が誰かを追いかけることになるなんて・・・
そう思っていたけれど、意外にコレが面白かった。
オウカやカスガ、それにシャインのチーム。
そして、隣のクラスの女の子達。
みんなでワイワイ言いながら、ソロを追いかけるのが、
すごく楽しかった。
知らなかった。
・・・友達が増えるとこんなに楽しいんだ。
友達といるとイライラを忘れられる・・・
そんな風に思えるようになっていたの。
◆◇◇◆第5章 ワタシ ルーナト アッタカラ◆◇◇◆
あの日以来、毎日のように私たちは、
ハーブ達とソロを追いかける日々。
楽しいけど・・・結構激しいのよね。
ソロって小さいから逃げ足が速くて。
その日もソロを追っかけていた。
ちょっと先回りしてみよう・・・
そんな風に考えて、
私はみんなと違うルートで追いかけることにしたの。
中庭から廊下に入って・・・
教室を通り過ぎた階段のところで曲がっ・・・
た瞬間、人にぶつかった。
「きゃっ」
「いたっ!」
相手は転んでしまったけれど、私は平気。
だてにアイドルでバランスは鍛えてないから。
「ゴメン!ちょっと、大丈夫?」
「ハイ!平気です。」
一瞬泣きそうに見えたけど、
そう言って立ち上がった娘は・・・ほっかむり?
変わった帽子・・・というより頭巾かな??
「私、C組のルーナといいます。ふしぎ星出身です。」
ぺこりと頭を下げる。
「え、あ、ああ・・・どうも。」
私もつられて頭を下げる。
ふしぎ星・・・って?
なんだかよく耳にするわね、ホント。
「私はアイドル星のフーカよ。」
「あっ、フーカさんって言うですか。宜しくお願いします!」
ぺこりと頭を下げる。
ずいぶん礼儀の正しい娘ね。
でも・・・ちょっと気になる。
「えっと・・・貴女、私の事は・・・知らないとか?」
「え?いえ、知ってます。」
「そ、そう。」
「ハイ!だって今お知り合いになりました!」
にこりと笑う。
・・・いや、そうじゃなくて。
「もしかして・・・貴女、田舎出身・・とか?」
「う!・・・わかっちゃいますか?やっぱり・・・」
しょぼんと肩を落とす。
なんて見ていて解りやすい娘かしら。
「まぁ、いいわ。別に気にしないで。」
慣れたし。
ミルロ、フーカ、カスガ・・・
私のことを知らない人がたくさんいた。
私は井の中の蛙だったのかもしれない。
最近はそう思うようになったの。
有名なアイドルって言っても、
全宇宙の人が知っているわけじゃないのだから。
「でもびっくりしました。」
ルーナはお尻をさすっている。
痛かったのかな・・・ホントにゴメン。
「どうしてそんなに急いでいたのですか?」
そうだった・・・ソロを追いかけていたんだっけ。
「うん。た、たいしたことじゃないんだけどね・・・」
笑ってごまかす。
だって、確か・・・
廊下を全力疾走するのは校則違反だったはずだし。
「たいしたことのない目的であんなに急いでいたのですか?」
うっ・・・
この娘、素朴な感じで鋭いわね。
目的はたいしたことないんだけどね。
目的は。
目的・・・
目的かぁ・・・
「ねぇ・・・ルーナだっけ?貴女この学園に何をしにきたの?」
別に意味なんて無い。
ただ、なんとなく聞いてみた。
「え・・私ですか?」
「そう。貴女の目的って何?」
「私は・・・勉強をしにきました。」
ごく普通の答え。
ま、そうなんでしょうけど。
「でも・・・」
「でも?」
そう言ってルーナは背負っていたものを私に見せる。
なに・・・それ?剣?
「この子と出会って、何か他に大切なことがあるような・・・」
ルーナはソレを背負いなおす。
「そんな気がしているんです。」
「この子って・・・それ・・・何なの?」
「解りません。でも、アンジェリカて呼んでます。この子。」
アンジェリカって・・・モノに名前つけるんだ。
ルーナは神妙な顔をしていたけれど、
急に私の方を向いて明るく笑う。
「勉強と同じくらい、この子を知ることが私の大切な目的です。」
・・・なによそれ。
しっかりした目的を持ってるじゃない。
なんだか、急に腹立たしくなってきた。
さらに、ルーナの質問は私のイライラを呼び覚ましたの。
「あの・・・フーカさんはどうしてこの学園に?」
「!!」
そうだ・・・
思い出した・・・
私、友達が出来て、毎日はしゃぐようになったけれど、
この学園に来た理由、それは・・・
「逃げてきたの。」
私の口から出た言葉にルーナは目を丸くする。
「逃げて・・・ですか?」
「そうよ。アイドルが嫌になって、この学園に逃げてきたの。」
「・・・」
ルーナはじっと私をみつめる。
なによ・・・
「フーカさんは、その『アイドル』というのが嫌いだったのですか?」
「・・・当たり前じゃないっ!」
私はルーナに背を向けて怒鳴った。
「アイドルなんて、大嫌い!」
すると、ルーナが走って私の前に回り込む。
・・・なによ?
「フーカさん。そんな目的で学園にいたって楽しくないですよ。」
「・・・わかっているわよ。」
そんなこと、貴女に言われるまでもないじゃない。
なんなのかしら、この娘。
イライラするわね。
「違う目的を探しませんか?」
「ぷっ。なによそれ?貴女みたいに、剣でも探せばいいの?」
ほんと、変な娘。
「違いますよ。」
そしてルーナは満面の笑みを浮かべてこう言った。
「自分が今、本当にやりたい事を探すんです♪」
はぁ?やりたいこと?
やりたいことなんて別に・・・
「別にやりたいことなんて、ないわよ。・・・みんなといること以外。」
「あ~、ちゃんとあるんですね、やりたいこと。」
へ?
別にみんなといることは・・・やりたいことでもなんでも無いけど?
「なら、今よりもっともっともぉ~っと・・・」
ルーナは大きく息を吸い込んで、
「もぉぉぉおおっと、いっぱいの友達を見つけてはどうですか?」
とも・・・だち?
オウカやカスガ達以外に??
「い、いっぱいって・・・どれくらいよ・・・」
な、なんだかこの娘に押されっぱなしな気がするわね。
「決まってます!」
「?」
「友達、100万人です!」
「はぁ!?」
ほんと、なんなのよこの娘。
ルーナは途方もない数字を言ったのにニコニコしている。
本気なのかしら・・・
この学園にそんなに生徒なんていないじゃない。
でも・・・
たくさんの友達をつくる目的。
それもいいかもしれない。
「あ、チャイム。それじゃフーカさん、失礼します。」
ぺこりと頭を下げて、ルーナは教室の方へ向かっていった。
私はその姿をぼんやりと見送った。
せっかく私に学園での目的を見つけるきっかけをくれたのに・・・
何も言えずじまい。
今度会ったらお礼でも言わなきゃ。
あ!?
・・・ソロのこと、忘れてた。
◆◇◇◆第6章 ワタシ オウエン デキルカラ◆◇◇◆
ルーナと会った次の日の朝。
ホームルームでバン・チョー先生から各チームの目標を聞かれた。
放課後までに先生に伝えなければならないらしい。
チームの目標か・・・
ポイントを100点獲るとか、そんな感じなのかしら。
「ねぇねぇ、フーカ。チームの目標、どんなのがいいかな。」
休み時間、さそっくオウカ達と会議を開く。
「やはり・・・高いポイントを『げっとぉ』するということでしょうか?」
「ゲットね、げっとぉじゃなくて。」
カスガが慣れない言葉を使って意見を言う。
カスガはどうも苦手な言葉があるみたいで、
時たま変な発音をするのよね。
故郷の星のなまりなのかしら・・・
でも、チーム目標となるとやっぱりみんな考えるのは一緒みたい。
ポイントを獲る。
それはそうなんだけど・・・
ふと、昨日のルーナの言葉を思い出した。
「友達100万人・・・」
「へ?」
「今なんておっしゃりました?」
私はハッとなって口を両手で抑える。
「べ、べ、別になんでもないわよ・・・」
笑ってごまかす。
「友達100万人ですか。」
聞こえてるじゃない、この性悪娘。
「友達100万人かぁ・・・」
オウカにも聞こえてるじゃないの。
「いいね、それ!」
「ええ、そうですわね。」
は?
ちょ、ちょっと・・・
「じゃ、私たちチーム・うららの目標は・・・」
「友達100万人を目指すということで♪」
「ちょっと待ちなさいってば!」
私は大声を出して二人を制止する。
「そ、そんな目標でイイワケ?」
二人はじっと私を見つめる。
その真っ直ぐな視線に、私の方が視線をぷいっとそらしてしまう。
「友達100万人なんか・・・無理っぽいよ・・・」
否定的な私の言葉にも2人は明るいまま。
「だからね!やりがいあるじゃない!」
「三人で頑張りましょう!」
・・・
まったく・・・
「・・・うん。」
私は下を向いた。
目に溜まった涙を2人に見られたくなかったから。
なんだかこの学園に来てから、私、涙もろくなった気がする。
ありがとう。オウカ、フーカ。
心の中でお礼を言う。
私たちのチームの目標は決まった。
その名も「友達100万人計画」。
決まったチーム目標をバン・チョー先生に伝えに行った。
笑われるじゃないかって思ってけれど、
真剣に聞いてくれた。
変な顔してるけど、言い先生なんだ・・・バン・チョー先生って。
そう言ったらオウカに怒られた。(←当たり前でしょ!byオウカ)
職員室から戻る途中、3人で目標について話し合っていた。
すると急に声をかけられたの。
多いわね、ホント。
今回は知らない娘。
「なぁ・・・えっと、フーカ・・・で間違いないよな?」
キレイな赤毛の女の子。
少しボーイッシュな感じ。
「・・・ええ。」
なんだろう。
サインかしら?
最近はめっきりサインをほしがる子もいなくなった。
それだけ私がこの学園に馴染んだから・・・と思う。
「で、アンタはオウカ。」
「うん。」
「で、アンタがカスガ。」
「ハイ、そうでございますが?」
私たち3人を確認すると・・・
「実はさ、お願いがあるんだ!」
そう言って、その女の子は顔の目のまで両手を合わせる。
私たちは顔を見合わせた。
話を聞いてみると、その娘はサッカー部に所属。
サッカー部は今週の日曜日の隣町の学校との試合がある。
そして、私たちにチアリーディングとして応援に来て欲しい。
・・・ということだった。
そう言えば、この学校には応援団やチアのクラブがないものね。
そこで、いつもソロを応援していた私達に声をかけた・・・
ということらしいの。
「カロリ・・・だっけ?でも、どうして私たちに頼むの?」
少し気になったので、カロリと名乗った娘に聞いてみた。
聞けばこの娘は隣りのクラスのA組。
だとしたら、ハーブに頼む方が早いとおもうんだけど?
「ああ。ハーブにはもう頼んでるんだ。」
「そーなの?」
「ハーブがさ、B組のみんながOKすればいいって・・・」
「・・・なるほど。」
「怒ると怖い人たちがいるから・・・だってさ。」
ハーブめ・・・後でとっちめてやる。
「でさ。応援なんだけど・・・来てくれるか?」
私はオウカとカスガの方を見た。
2人笑顔でが頷いているところみると・・・
「OK♪」
私は親指をグっと立ててカロリの方へ見せた。
「マジかぁ!助かったぜ!!」
カロリは私たちの手を取って、ブンブン上下に振った。
ちょ・・・痛いってば・・・
「じゃな。次の日曜日、直接グランドに来てくれ~」
そう言って、走り去っていった。
なんか・・・嵐みたいな娘ね。
それはそうと、応援か・・・
楽しそう♪
私たちは、休み時間に話を合わせて、
ソロを応援するみたいにやろうと話を合わせた。
でも、まさか、あんな風なことになるなんて・・・
その時は思いもしなかったんだけどね。
◆◇◇◆続く◆◇◇◆
今回も3分割。
流石に3週は長いです。シンドイです。色々。
でも結局3回目がまた長くなりそう・・・
まとめるスキルと絵を描くスキルが欲しいです。
ヌガ~。
ふたご姫に関係するかもしれない、
謎のノベルみたいな文章(弱気)。
今回は絵を漫画のコマ割りを意識してみたり。
漫画なんぞ生まれてこのかた描いたことなんぞないですが。
読み専でした。
てぇへんだなぁ(涙)。
アイドル星のプリンセス・フーカの物語のその2。
今回も駄文長文オブジクションでいきます。
・・・ルーナの登場は今回です(汗)。
物心ついた時から、ずっとアイドルを続けてきた、
アイドル星のプリンセス・フーカ。
本当の自分を見てもらえないことから、
常にイライラしていた。
そんな環境に嫌気がさして、ロイヤルワンダー学園に入学する。
最初は人を近づけさせないようにしていたフーカ。
しかし、クラスメイトと大ゲンカすることで、逆に親交を深め、
友達の大切を認識することになった。
オウカとカスガの2人とチームを組んで数日が過ぎた。
私にサインや握手を求める生徒はまだいる。
でも、それもだんだん減ってきてる。
みんな、それぞれこの学園で目的があるから。
だから、私ばかりを気にかけるワケにはいかないみたい。
嬉しい反面、寂しくもある。
それに、目的を持っている人が羨ましかった。
だって、私には目的も目標もなにもなかったから・・・
「ねぇ、フーカ?」
科学の授業が終わった休み時間。
私は同じクラスの女の子に急に話しかけられた。
名前は確か・・・ひかり星のシャインだったかな?
「なに?」
「クラブってもう入ったりしてるのかな?」
「クラブ??」
クラブ・・・そういえば、何も考えてない。
音楽部の先生から、是非入部して欲しいと言われたけど・・・
正直、今はちょっと歌とかから離れたい。
だから、断った。
「別に決めてないわ。どうして?」
するとシャインはいきなり私の手をとって、
「ついてきて?」
と言って引っ張る。
「え?ちょ・・・ドコに行くのよ!?」
「隣りのクラス。合わせたい娘がいるの。」
「はぁ?」
強引な子ね・・・オウカみたい。
隣のクラスに着くと、変わった女の子を紹介された。
「んもぅ、すごぉ~く可愛いんだからぁ!」
・・・ナニ、この異常なテンション。
女の子の名前はハーブ。
なんでも『ソロ』って男の子にゾッコンらしい。
「でねでね!みんなでソロりんを応援しようって思うの!」
・・・はぁ?
そのソロって男の子は、そんなにイケメンなワケ?
「ねぇ、シャイン。ソロって人、どこにいるの?」
「あれ。」
シャインがそう言って指さした先。
机・・・の上に・・・机!?
とても小さな・・・手のひらサイズの男の子が座っている。
そして真剣に本を読んでいる。
「えっと、あれって・・・タネタネの人?」
「そうなの~。タネタネのこと知ってるだぁ?」
まぁ、それなりに。
同じクラスにはタネタネの女の子もいるし・・・
(※姉弟であることは知りません)
それに前に一度、コンサートの仕事でふしぎ星に行ったから。
その時、タネタネの人たちの国でも野外コンサートを開いたわ。
だから知ってたんだけど・・・
そう言えば、一緒に仕事をした吟遊詩人も変わった人だったな。
確か・・・ナギーニョって名前だったっけ。
「ねぇ、フーカ。一緒にソロりんを応援しない?」
「う~ん・・・」
別に小さい男の子が好きってワケでもないし・・・
それにB組にはタネタネの女の子が何人もいるし・・・
そんな風に考えていると、シャインがそっと耳打ちをしてきた。
「(ハーブとソロ君の恋模様、見ていて飽きないよ?)」
なるほど・・・
シャインの目的は、恋のキューピッド役なのね。
まぁ、ワイワイ楽しむ目的もあるみたいだけど・・・
「別にいいけど、オウカとカスガにも聞かないと。」
私はチームメイトの意見を無視したくはない。
初めて出来た友達。
あの2人がどういうかも聞いてみたかった。
「あ、それなら大丈夫。」
クネクネしているハーブを脇目に、シャインは落ち着いて答える。
「なんでよ?」
「もう2人には聞いてあるの。」
そ、そうなの?
「フーカからOKがもらえれば、みんな一緒に仲間入りね。」
「ま、まぁ、それならいいけど・・・」
「やったぁ!」
シャインは小さく飛び上がって喜んだ。
「ハーブ、ハーブ!」
手を振りながらハーブの方へ走っていく。
「ソロりんを一緒に応援してくれる人、また増えたよー!」
「ええ、イヤンうそんマジー素敵~」
や、やめておいた方が良かったかも・・・
でも、もしかして、これが私のクラブ活動と言えるのかな。
ユニークなクラブと言えるかもしれない。
それに、今まで人に追いかけられることは散々あったけれど、
まさか自分が誰かを追いかけることになるなんて・・・
そう思っていたけれど、意外にコレが面白かった。
オウカやカスガ、それにシャインのチーム。
そして、隣のクラスの女の子達。
みんなでワイワイ言いながら、ソロを追いかけるのが、
すごく楽しかった。
知らなかった。
・・・友達が増えるとこんなに楽しいんだ。
友達といるとイライラを忘れられる・・・
そんな風に思えるようになっていたの。
あの日以来、毎日のように私たちは、
ハーブ達とソロを追いかける日々。
楽しいけど・・・結構激しいのよね。
ソロって小さいから逃げ足が速くて。
その日もソロを追っかけていた。
ちょっと先回りしてみよう・・・
そんな風に考えて、
私はみんなと違うルートで追いかけることにしたの。
中庭から廊下に入って・・・
教室を通り過ぎた階段のところで曲がっ・・・
た瞬間、人にぶつかった。
「きゃっ」
「いたっ!」
相手は転んでしまったけれど、私は平気。
だてにアイドルでバランスは鍛えてないから。
「ゴメン!ちょっと、大丈夫?」
「ハイ!平気です。」
一瞬泣きそうに見えたけど、
そう言って立ち上がった娘は・・・ほっかむり?
変わった帽子・・・というより頭巾かな??
「私、C組のルーナといいます。ふしぎ星出身です。」
ぺこりと頭を下げる。
「え、あ、ああ・・・どうも。」
私もつられて頭を下げる。
ふしぎ星・・・って?
なんだかよく耳にするわね、ホント。
「私はアイドル星のフーカよ。」
「あっ、フーカさんって言うですか。宜しくお願いします!」
ぺこりと頭を下げる。
ずいぶん礼儀の正しい娘ね。
でも・・・ちょっと気になる。
「えっと・・・貴女、私の事は・・・知らないとか?」
「え?いえ、知ってます。」
「そ、そう。」
「ハイ!だって今お知り合いになりました!」
にこりと笑う。
・・・いや、そうじゃなくて。
「もしかして・・・貴女、田舎出身・・とか?」
「う!・・・わかっちゃいますか?やっぱり・・・」
しょぼんと肩を落とす。
なんて見ていて解りやすい娘かしら。
「まぁ、いいわ。別に気にしないで。」
慣れたし。
ミルロ、フーカ、カスガ・・・
私のことを知らない人がたくさんいた。
私は井の中の蛙だったのかもしれない。
最近はそう思うようになったの。
有名なアイドルって言っても、
全宇宙の人が知っているわけじゃないのだから。
「でもびっくりしました。」
ルーナはお尻をさすっている。
痛かったのかな・・・ホントにゴメン。
「どうしてそんなに急いでいたのですか?」
そうだった・・・ソロを追いかけていたんだっけ。
「うん。た、たいしたことじゃないんだけどね・・・」
笑ってごまかす。
だって、確か・・・
廊下を全力疾走するのは校則違反だったはずだし。
「たいしたことのない目的であんなに急いでいたのですか?」
うっ・・・
この娘、素朴な感じで鋭いわね。
目的はたいしたことないんだけどね。
目的は。
目的・・・
目的かぁ・・・
「ねぇ・・・ルーナだっけ?貴女この学園に何をしにきたの?」
別に意味なんて無い。
ただ、なんとなく聞いてみた。
「え・・私ですか?」
「そう。貴女の目的って何?」
「私は・・・勉強をしにきました。」
ごく普通の答え。
ま、そうなんでしょうけど。
「でも・・・」
「でも?」
そう言ってルーナは背負っていたものを私に見せる。
なに・・・それ?剣?
「この子と出会って、何か他に大切なことがあるような・・・」
ルーナはソレを背負いなおす。
「そんな気がしているんです。」
「この子って・・・それ・・・何なの?」
「解りません。でも、アンジェリカて呼んでます。この子。」
アンジェリカって・・・モノに名前つけるんだ。
ルーナは神妙な顔をしていたけれど、
急に私の方を向いて明るく笑う。
「勉強と同じくらい、この子を知ることが私の大切な目的です。」
・・・なによそれ。
しっかりした目的を持ってるじゃない。
なんだか、急に腹立たしくなってきた。
さらに、ルーナの質問は私のイライラを呼び覚ましたの。
「あの・・・フーカさんはどうしてこの学園に?」
「!!」
そうだ・・・
思い出した・・・
私、友達が出来て、毎日はしゃぐようになったけれど、
この学園に来た理由、それは・・・
「逃げてきたの。」
私の口から出た言葉にルーナは目を丸くする。
「逃げて・・・ですか?」
「そうよ。アイドルが嫌になって、この学園に逃げてきたの。」
「・・・」
ルーナはじっと私をみつめる。
なによ・・・
「フーカさんは、その『アイドル』というのが嫌いだったのですか?」
「・・・当たり前じゃないっ!」
私はルーナに背を向けて怒鳴った。
「アイドルなんて、大嫌い!」
すると、ルーナが走って私の前に回り込む。
・・・なによ?
「フーカさん。そんな目的で学園にいたって楽しくないですよ。」
「・・・わかっているわよ。」
そんなこと、貴女に言われるまでもないじゃない。
なんなのかしら、この娘。
イライラするわね。
「違う目的を探しませんか?」
「ぷっ。なによそれ?貴女みたいに、剣でも探せばいいの?」
ほんと、変な娘。
「違いますよ。」
そしてルーナは満面の笑みを浮かべてこう言った。
「自分が今、本当にやりたい事を探すんです♪」
はぁ?やりたいこと?
やりたいことなんて別に・・・
「別にやりたいことなんて、ないわよ。・・・みんなといること以外。」
「あ~、ちゃんとあるんですね、やりたいこと。」
へ?
別にみんなといることは・・・やりたいことでもなんでも無いけど?
「なら、今よりもっともっともぉ~っと・・・」
ルーナは大きく息を吸い込んで、
「もぉぉぉおおっと、いっぱいの友達を見つけてはどうですか?」
とも・・・だち?
オウカやカスガ達以外に??
「い、いっぱいって・・・どれくらいよ・・・」
な、なんだかこの娘に押されっぱなしな気がするわね。
「決まってます!」
「?」
「友達、100万人です!」
「はぁ!?」
ほんと、なんなのよこの娘。
ルーナは途方もない数字を言ったのにニコニコしている。
本気なのかしら・・・
この学園にそんなに生徒なんていないじゃない。
でも・・・
たくさんの友達をつくる目的。
それもいいかもしれない。
「あ、チャイム。それじゃフーカさん、失礼します。」
ぺこりと頭を下げて、ルーナは教室の方へ向かっていった。
私はその姿をぼんやりと見送った。
せっかく私に学園での目的を見つけるきっかけをくれたのに・・・
何も言えずじまい。
今度会ったらお礼でも言わなきゃ。
あ!?
・・・ソロのこと、忘れてた。
ルーナと会った次の日の朝。
ホームルームでバン・チョー先生から各チームの目標を聞かれた。
放課後までに先生に伝えなければならないらしい。
チームの目標か・・・
ポイントを100点獲るとか、そんな感じなのかしら。
「ねぇねぇ、フーカ。チームの目標、どんなのがいいかな。」
休み時間、さそっくオウカ達と会議を開く。
「やはり・・・高いポイントを『げっとぉ』するということでしょうか?」
「ゲットね、げっとぉじゃなくて。」
カスガが慣れない言葉を使って意見を言う。
カスガはどうも苦手な言葉があるみたいで、
時たま変な発音をするのよね。
故郷の星のなまりなのかしら・・・
でも、チーム目標となるとやっぱりみんな考えるのは一緒みたい。
ポイントを獲る。
それはそうなんだけど・・・
ふと、昨日のルーナの言葉を思い出した。
「友達100万人・・・」
「へ?」
「今なんておっしゃりました?」
私はハッとなって口を両手で抑える。
「べ、べ、別になんでもないわよ・・・」
笑ってごまかす。
「友達100万人ですか。」
聞こえてるじゃない、この性悪娘。
「友達100万人かぁ・・・」
オウカにも聞こえてるじゃないの。
「いいね、それ!」
「ええ、そうですわね。」
は?
ちょ、ちょっと・・・
「じゃ、私たちチーム・うららの目標は・・・」
「友達100万人を目指すということで♪」
「ちょっと待ちなさいってば!」
私は大声を出して二人を制止する。
「そ、そんな目標でイイワケ?」
二人はじっと私を見つめる。
その真っ直ぐな視線に、私の方が視線をぷいっとそらしてしまう。
「友達100万人なんか・・・無理っぽいよ・・・」
否定的な私の言葉にも2人は明るいまま。
「だからね!やりがいあるじゃない!」
「三人で頑張りましょう!」
・・・
まったく・・・
「・・・うん。」
私は下を向いた。
目に溜まった涙を2人に見られたくなかったから。
なんだかこの学園に来てから、私、涙もろくなった気がする。
ありがとう。オウカ、フーカ。
心の中でお礼を言う。
私たちのチームの目標は決まった。
その名も「友達100万人計画」。
決まったチーム目標をバン・チョー先生に伝えに行った。
笑われるじゃないかって思ってけれど、
真剣に聞いてくれた。
変な顔してるけど、言い先生なんだ・・・バン・チョー先生って。
そう言ったらオウカに怒られた。(←当たり前でしょ!byオウカ)
職員室から戻る途中、3人で目標について話し合っていた。
すると急に声をかけられたの。
多いわね、ホント。
今回は知らない娘。
「なぁ・・・えっと、フーカ・・・で間違いないよな?」
キレイな赤毛の女の子。
少しボーイッシュな感じ。
「・・・ええ。」
なんだろう。
サインかしら?
最近はめっきりサインをほしがる子もいなくなった。
それだけ私がこの学園に馴染んだから・・・と思う。
「で、アンタはオウカ。」
「うん。」
「で、アンタがカスガ。」
「ハイ、そうでございますが?」
私たち3人を確認すると・・・
「実はさ、お願いがあるんだ!」
そう言って、その女の子は顔の目のまで両手を合わせる。
私たちは顔を見合わせた。
話を聞いてみると、その娘はサッカー部に所属。
サッカー部は今週の日曜日の隣町の学校との試合がある。
そして、私たちにチアリーディングとして応援に来て欲しい。
・・・ということだった。
そう言えば、この学校には応援団やチアのクラブがないものね。
そこで、いつもソロを応援していた私達に声をかけた・・・
ということらしいの。
「カロリ・・・だっけ?でも、どうして私たちに頼むの?」
少し気になったので、カロリと名乗った娘に聞いてみた。
聞けばこの娘は隣りのクラスのA組。
だとしたら、ハーブに頼む方が早いとおもうんだけど?
「ああ。ハーブにはもう頼んでるんだ。」
「そーなの?」
「ハーブがさ、B組のみんながOKすればいいって・・・」
「・・・なるほど。」
「怒ると怖い人たちがいるから・・・だってさ。」
ハーブめ・・・後でとっちめてやる。
「でさ。応援なんだけど・・・来てくれるか?」
私はオウカとカスガの方を見た。
2人笑顔でが頷いているところみると・・・
「OK♪」
私は親指をグっと立ててカロリの方へ見せた。
「マジかぁ!助かったぜ!!」
カロリは私たちの手を取って、ブンブン上下に振った。
ちょ・・・痛いってば・・・
「じゃな。次の日曜日、直接グランドに来てくれ~」
そう言って、走り去っていった。
なんか・・・嵐みたいな娘ね。
それはそうと、応援か・・・
楽しそう♪
私たちは、休み時間に話を合わせて、
ソロを応援するみたいにやろうと話を合わせた。
でも、まさか、あんな風なことになるなんて・・・
その時は思いもしなかったんだけどね。
今回も3分割。
流石に3週は長いです。シンドイです。色々。
でも結局3回目がまた長くなりそう・・・
まとめるスキルと絵を描くスキルが欲しいです。
ヌガ~。
2009-03-07 02:30
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